柿の食べ過ぎの影響は?どのくらいが食べ過ぎになる?

柿は秋の代表的な味覚の一つであるとともに、栄養価が高い果物なのでついつい食べ過ぎてしまうこともありますよね?
食べ過ぎると、どのような影響があるのか?
どれくらいが食べ過ぎになるのか?
知りたくなりましたので徹底的に調べてみました!

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柿は、渋みの有無で「甘柿」と「渋柿」に分けることができます。
柿の渋みは、柿に含まれている渋み成分「タンニン」が口の中で溶けることが原因です。
タンニンは可溶性(水に溶ける)と不溶性(水に溶けない)があり、可溶性だと渋みを感じ、不溶性だと渋みは感じません。
甘柿は、収穫までに樹の上で不溶性になるので渋が抜けますが、渋柿は可溶性のまま、すなわち渋を含んだまま収穫期を迎えます。
なお、スーパーなどで売られている渋柿は、炭酸ガスや焼酎などのアルコールで渋抜きされ、甘くなった状態で「渋抜き柿」として売られています。
また、渋柿を干して乾燥させると「干し柿」になりますが、乾燥させることで水溶性のタンニンが不溶性に変化するので、干し柿は甘いのです。
干し柿に関する記事はこちらから↓
⇒「干し柿の食べ過ぎの影響は?1日の食べる量はどのくらいがいい?」の別記事はこちらから

次に、柿に含まれる健康成分をみると、食物繊維やカリウム、ビタミンAのもとになるカロテン、葉酸やビタミンCなどのビタミン群が豊富に含まれており、栄養価が高いことがわかります。
しかし、食べ過ぎてしまうとこれらの栄養価を摂り過ぎて栄養の偏りが生じ、体に様々な不具合の症状が出る可能性があります。

ちなみに、同じように栄養価が高い秋の味覚として「栗」があります。
⇒「栗の食べ過ぎの影響は?どのくらいが食べ過ぎになる?」の別記事はこちらから

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柿を食べ過ぎるとどうなるの?

柿にはビタミンCが含まれています。
可食部100gあたりのビタミンCの量(柿1個分)

  • 甘柿70mg
  • 渋抜き柿55mg

ビタミンCは、

  • 抗酸化作用により体に有害な活性酸素を除去
  • 鉄分の吸収促進
  • 白内障の予防
  • ニトロソアミンなどの発がん性物質の生成を抑制
  • ストレスから体を守るためのホルモン生成を助ける
  • シミ・そばかすの改善

などの効果があります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、成人男女の1日のビタミンCの推奨摂取量は、

  • 100mg/日

に設定されています。
これは、甘柿約1.5個に相当します。

ビタミンCは水溶性で、加熱調理すると失われてしまうので、柿のように生で食べられる果物はビタミンCの摂取にとても有効です。
また、摂取したビタミンCも、ほとんどは尿として外に排出されてしまいますので、柿を食べ過ぎた場合のビタミンCの過剰摂取の心配はありません。
しかし、サプリメントの普及により、ビタミンCを多量に摂取できるようになったため、過剰摂取による症状が報告がされるようになりました。
厚生労働省は、サプリメントからのビタミンCの摂取上限値を

  • 2000mg/日

に設定しています。
これ以上のビタミンCを一度に摂取すると、胃腸のぜん動運動が活発になり過ぎて腹痛や吐き気、下痢になるばかりではなく、尿路結石のリスクが高まる恐れもあります。
ですから、ビタミンCをサプリメントで摂取している状態で、更に柿を何個も食べて摂取上限値2000mgを超えてしまうような場合は、このような症状が出る可能性がありますので注意してください。

食べ過ぎると下痢になる?

柿には食物繊維が比較的多く含まれています。
食物繊維には腸の調子を整えたり、便秘を改善する効果があります。
食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維に分けられますが、柿は水溶性、不溶性共に含まれており、特に溶性食物繊維が多く含まれています。
⇒食物繊維の詳細はこちらの記事に書いてあります。

不溶性食物繊維は便の量を増やし、腸のぜん動運動を活発にして排便を促すので、便秘の改善には効果があります。
腸は食べ物の水分を吸収して固形化する働きをしますが、不溶性食物繊維を食べ過ぎると水分をうまく吸収できなくなるため、水分を多く含んだ便が排出され、下痢になる場合があります。
さらに、水溶性、不溶性共に「ペクチン」が含まれています。
通常はぜん動運動を活発にして便秘の改善に効果をもたらしますが、ペクチンを摂り過ぎると腸を更に刺激してしまい、下痢になる場合があります。
また、ペクチンを摂り過ぎると、コレステロールだけでなく、カルシウム・鉄・亜鉛などの必須ミネラルの吸収をも妨げてしまう場合があります。

食べ過ぎると便秘や腹痛になる?

腸の調子が良くない方や便秘の方が、不溶性食物繊維を食べ過ぎると、腸を更に刺激してぜん動運動がより活発化し、腸内の便の量が増えることで腹痛を起こしたり、便秘が悪化する恐れがあります。
また、柿には渋み成分「タンニン」が含まれています。
甘柿、渋抜き柿に含まれているのは主に不溶性のタンニンです。
タンニンはポリフェノールの一種ですが、特徴として「収斂(しゅうれん)」作用があります。
収斂(しゅうれん)作用は、腸の粘膜のタンパク質と結合して保護膜を作る作用です。
粘膜への刺激が和らぐので、通常は腸のぜん動が抑えられ、下痢が収まります。
柿を食べ過ぎてタンニンを過剰に摂り過ぎると、更に腸のぜん動運動が弱くなるので、それが
便秘の原因になります。
また、タンニンを過剰摂取すると、腸にできる保護膜により鉄分の吸収を妨げてしまい、それが貧血の原因になることがあるので、特に妊娠中の方は食べ過ぎに注意してください。

食べ過ぎると太る?

柿のカロリーは
可食部100gあたり(柿1個分)

  • 甘柿60kcal
  • 渋抜き柿63kcal

になります。
柿を10個食べるとすると、カロリーは

  • 甘柿60×10=600kcal
  • 渋抜き柿63×10=630kcal

となります。
1日に必要なエネルギーの基本量は2000kcal~2400kcalぐらいですので、必要なエネルギーの約25%~30%が柿から摂れてしまう計算になります。

また、柿には炭水化物(糖質)含まれています。
可食部100gあたり(柿1個分) 

  • 甘柿15.9g
  • 渋抜き柿16.9g 

になります。
柿を10個食べるとすると、炭水化物(糖質)は、

  • 甘柿15.9×10=159g
  • 渋抜き柿16.9×10=169g

となり、お茶碗1杯の白米(200g)に含まれる炭水化物(糖質)約74gと比べると、白米約2杯分になり、食べ過ぎると太るリスクが高くなることがわかります。
普段の食生活の中で、ごはんやラーメン、パスタなどから炭水化物(糖質)を摂っているでしょうから、それに加えて柿を食べ過ぎるのは太るリスクが更に高くなります。

柿を食べ過ぎるとお腹いっぱいになり、腹もちも良いため、普段の食事が減ります。
普段の食事から炭水化物(糖質)を減らすと、1日の食事の総カロリー(炭水化物)は減ることになり、結果的にダイエットにつながるかもしれません。
柿にはダイエットの助けになる成分として、脂質や糖質を燃焼させやすくする「リコピン」や、利尿作用によりデトックス効果がある「カリウム」が含まれていますので、甘いお菓子やジュースよりも遥かに健康的です。
柿を食べ過ぎるても食事方法でダイエット効果も期待できます。

食べ過ぎで柿胃石になる?

柿を食べ過ぎると渋み成分のタンニンが胃液中で固まり、摂取した食物繊維が含まれて「胃石」という固体を形成することを柿胃石(かきいせき)といいます。
柿胃石になると、初期症状として嘔吐、腹部の痛みなど、アレルギーと同じようなの症状が急性で現れますが、重症化すると腸閉塞を起こす可能性がある怖い病気です。
柿を普通の量を食べている分には柿胃石になりませんが、食べ過ぎると柿胃石になるリスクが高くなりますので食べ過ぎには注意してください。
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妊娠中の食べ過ぎの影響は?

柿を食べ過ぎると、柿の水分によって体を冷やし過ぎてしまい下痢などの症状を引き起こします。

また、炭水化物(糖質)の摂りすぎになるために妊娠糖尿病を発症する原因にもなり得ます。
妊娠糖尿病は妊娠中に糖尿病と診断される病気で、本来、糖質を胎児の栄養分として摂り込まれる結果、血糖値を下げるためのインシュリンの働きを弱めるホルモンが、胎盤から分泌されるので、母体が糖質を分解しにくくなることで発症します。
妊娠糖尿病が悪化すると、流産や早産を引き起こすリスクが高くなるばかりではなく、胎児発育不全や胎児機能不全を引き起こすリスクも高くなりますので注意が必要です。

柿にはビタミンAに変換されるβカロテン等が豊富に含まれています。
ビタミンAはレチノールと呼ばれ、肉類、乳製品、卵、魚介類からの動物性食品から摂ることができ、皮膚を健康に保つ働きをします。
体内でビタミンAに変換するカロテノイドは「プロビタミンA」と呼ばれ、プロビタミンAの代表には「βーカロテン」があります。
βーカロテンは柿のような果物類等の植物性食材に含まれていて、抗酸化作用等があります。
このように、ビタミンAには動物性植物性の二つに分類されるのです。

ビタミンAの妊娠中の効果としては、胎児に必要な臓器の形成や細胞分裂の促進を助けています。
しかし、ビタミンAを過剰に摂取し過ぎると胎児の先天性異常などに発展する可能性が高くなることが知られています。
動物性のレチノール、体内に摂り込まれると、排出されないまま蓄積されていきます。
ですから、妊娠中に動物性のレチノールを過剰に摂取するのは避けた方が無難です。
一方、βーカロテンは体内でビタミンA(レチノール)に変換されますが、変換されたものは植物性のビタミンAであり、必要な栄養分以外は体外に排出される成分なので、体内に蓄積されることがありません。
なので、現時点ではβーカロテンの食事摂取基準はありません。
ですから、柿を過剰に摂取してもビタミンAの蓄積の問題はありませんので安心してください。

食べ過ぎは糖尿病に影響はあるの?

糖尿病の方やその予備軍の方は、血糖値が異常に高くなり、様々な合併症を引き起こすため、血糖値をコントロールする食事療法等が必要です。
血糖値の上昇速度を示す指標であるグリセミックインデックス(GI)値を見ると、
ブドウ糖を100とした場合、

  • 柿のGI値:37

であり、例えば、他の果物では、

  • スイカのGI値:72

で柿よりも高く、

  • 白米のGI値:77

であることから、柿のGI値が比較的低い値であることがわかります。

さらに、GI値に炭水化物の量をかけたグリセミックロード(GL)という値があります。
GLは血糖値の上昇速度(GI)に食べる量を考え合わせた指数で、
柿のGL値は

  • 柿のGI値:

であり、スイカは、

  • GI値:6

で柿よりも高く、

  • 白米のGI値:28

であることから、柿のGI値が比較的低い値であることがわかります。
これは何を意味するかというと、食べる量が少量ならば血糖値の上昇速度は低いということを示します。
ですから、は本来、糖尿病の方にとてもやさしい食べものなのです。
柿のように血糖値の上昇速度が低い食べ物でも、食べ過ぎると炭水化物(糖質)の量も増えるので、血糖値の上昇速度が高くなることにより、本来血糖値の上昇を抑えるためのインシュリンが必要以上に分泌され、肥満の原因になります。
糖尿病の方やその予備軍の方は、インシュリンの量が少なくなったり、また、分泌されても血糖値の上昇を抑える働きが悪くなると血糖を上手く細胞へと取り込むことができずに、血糖値が高い状態(高血糖)が続きます。
高血糖が長期間続くと、全身の血管がダメージを受け続け、様々な合併症を引き起こす原因になりますので、食べ過ぎには十分に注意してください。

食べ過ぎは腎臓病に影響はあるの?

柿にはカリウムが豊富に含まれています。
可食部100g当たり柿1個分

  • 甘柿170mg
  • 渋抜き柿200mg

となっています。
カリウムは筋肉や神経の働きを補助し、利尿作用やナトリウムの排出を促進する作用があり、腎臓にとってはいい働きをするのです。
カリウムを多く摂っても、健康な方は1日のカリウム摂取量の90%は尿として排出され、残りは便として排出されます。
しかし、腎臓の機能が弱い方や腎臓病の持病がある方は、腎臓によるカリウムの排出機能が低下し、カリウムの血中濃度が高くなるのです。
カリウムの血中濃度が上がると、不整脈や、最悪の場合には心臓が停止する危険があります。
日本人のカリウムの平均摂取量は、

  • 1日2400mg程度

ですが、腎臓病など腎臓に障害がある方の1日の摂取量は、病状によって

  • 1日1500mg~2000mg以下

を目安に抑えなくてはなりません。
甘柿や渋抜き柿を10個を食べると仮定すると、

  • 甘柿170×10=1700mg
  • 渋抜き柿は200×10=2000mg

のカリウムを摂取することになり、1日の摂取量の目安に到達してしまいますので食べ過ぎないようにしてください。
腎臓病の食事療法においては、病状などにより人それぞれ大きく異なるので必ず医師と相談し、具体的な食事療法の内容を決めてください。

食べ過ぎで柿アレルギーが出る?

「柿アレルギー」という症状があるのはご存じですか?
柿アレルギーとは、柿を摂取した際に含まれるタンパク質を異物として認識し、自分の体を防衛するために過剰な反応を起こすことを言います。
花粉症とは密接な関係があり、柿を食べ過ぎた人が花粉症だった場合には、目や口がかゆくなる軽度のものから、蕁麻疹や下痢やおう吐、発熱や呼吸困難になるアナフィラキシーという重度になる可能性があります。
花粉症をひきおこす原因となるタンパク質の構造が、柿のような果物やラテックス(天然ゴム)に含まれるタンパク質の構造と共通しているために、柿を食べたり、ラテックス(天然ゴム)を含んだ素材に触れたときにも同様な症状を起こすので、これらを「口腔アレルギー症候群・ラテックスフルーツ症候群」と呼んでいます。
、食物を摂取すると口腔内でアレルギー反応が生じた結果、上記のような症状を引き起こします。
柿を食べた直後に症状が出ることもあるので、その場合は即効で柿を食べるのを止めてください。
特に乳幼児や子供は、遺伝的要素もあるので、家族間でアレルギーを持った人がいる場合は、柿を食べる前に医者に相談したり、アレルギー検査をすることをおすすめします。

どのくらいが食べ過ぎになる?

厚生労働省と農林水産省で策定した「食事バランスガイド」で、1日当たりの果物の摂取目標量を、

  • 可食部200g(柿2個分)

の果物摂取を推進しています。
この摂取目標量や、カロリーと炭水化物(糖質)の含有量から、柿の食べ過ぎになる量を想定してみました。

一般的な人(中学生~成人)はどのくらい?

甘柿、渋抜き柿10個(可食部約1kg)

  • 甘柿 カロリー600kcal 炭水化物(糖質)159g
  • 渋抜き柿 カロリー630kcal 炭水化物(糖質)169g

ですので、柿10個以上は食べ過ぎになりますのでそれを目安にしてください。
ただ、この量を食べると、利尿作用によりトイレがかなり近くなると思われます。

子ども(小学生)はどのくらい?

甘柿、渋抜き柿5個(可食部約500g)

  • 甘柿 カロリー300kcal 炭水化物(糖質)79.5g
  • 渋抜き柿 カロリー315kcal 炭水化物(糖質)84.5g

子どもにとってはどのくらいが食べ過ぎになるか?
それは、大人の食べ過ぎの量の半分ぐらいと考えます。
ですから柿5個以上は食べ過ぎになりますので目安にしてください。
食べ過ぎると、トイレが近くなり、さらにオネショをすることもあるようなので気をつけてください。

妊娠中はどのくらい?

甘柿、渋抜き柿2個(可食部約200g)

  • 甘柿 カロリー120kcal 炭水化物(糖質)31.8g
  • 渋抜き柿 カロリー126kcal 炭水化物(糖質)33.8g

妊娠中は「食事バランスガイド」の1日当たりの果物摂取目標量200gを、理想の摂取量すると、甘柿、渋抜き柿2個目安になり、それ以上は食べ過ぎになります。

糖尿病の人はどのくらい?

甘柿、渋抜き柿1個(可食部約100g)

  • 甘柿 カロリー60kcal 炭水化物(糖質)15.9g
  • 渋抜き柿 カロリー63kcal 炭水化物(糖質)16.9g

日本糖尿病学会は「糖尿病食事療法のための食品交換表」の中で、糖尿病患者が制限された摂取エネルギー量のうち、栄養バランスのとれた食事を摂るために、生鮮果物を1日80kcalを摂るように提案しています。
甘柿、渋抜き柿1個に相当し、これ以上は食べ過ぎになりますので注意してください。

このように食べ過ぎの量を示しましたが、あくまでも目安として考えてください。
特に妊娠中の方や糖尿病の方は、かかりつけの医師に食べる量などを相談してから食べるようにしたほうが安心できます。

おまけ:渋柿を甘くするやり方動画

麻里絵ちゃんよろしくお願いします!(笑)

⇒楽天で「柿」をいろいろ見てみる

まとめ

柿はどのくらいが食べ過ぎになるか?

  • 一般人(中学~成人):甘柿、渋抜き柿10個(可食部約1kg)
  • 子ども(小学生):甘柿、渋抜き柿5個(可食部約500g)
  • 妊娠中:甘柿、渋抜き柿2個(可食部約200g)
  • 糖尿病の方:甘柿、渋抜き柿1個(可食部約100g)

ぐらいの目安を示しましたので参考にしてください。

このように、適度な量ならば問題がない柿でも、食べ過ぎると様々な症状を引き起こす可能性がありますので、食べ過ぎには十分注意しましょう!

                        
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