栗の食べ過ぎの影響は?どのくらいが食べ過ぎになる?

秋の味覚を代表する食べ物は「栗」ですよね!
栗ごはんにしたり、甘栗で食べたり、いろいろな食べ方があるので、好きな人はついつい食べ過ぎてしまいますよね?
食べ過ぎると、どのような影響があるのか?
どのくらいまでなら食べてもいいのか?
知りたくなったので徹底的に調べてみました!

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栗を食べ過ぎるとどうなる?

栗は、種実類(しゅじつるい)に分類されており、ナッツ類や銀杏、胡麻などと同じ種類です。
主成分はでんぷん質で、炭水化物です。
栄養価をたくさん含んでおり、タンパク質、ビタミンA・B1・B2・C、カリウムも比較的豊富に含まれています。
しかし、ついつい食べ過ぎてしまうと、これらの栄養価を摂りすぎることで栄養の偏りが生じ、体に様々な不具合の症状が出る可能性があります。

同じように栄養価が高い食品には「枝豆」があります。
⇒「枝豆の食べ過ぎの影響は?どのくらいが食べ過ぎになる?」の別記事はこちらから

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食べ過ぎると腹痛(下痢)になる?

栗には食物繊維が多く含まれています。
食物繊維には、腸の調子を整えたり、便秘を改善する効果があります。
食物繊維は、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維に分けられますが、栗はその中でも不溶性食物繊維が多く含まれています。

日本栗 可食部100gあたりの食物繊維 総量(不溶性食物繊維+水溶性食物繊維):

  • 生 4.2g(不溶性3.9g 水溶性0.3g)
  • ゆで 6.6g(不溶性6.3g 水溶性0.3g)
  • 栗の甘露煮 2.8g(不溶性2.5g 水溶性0.3g)
  • 甘栗(中国栗) 8.5g(不要性7.5g 水溶性1.0g)

参考:文部科学省 第2章 5訂増補日本食品標準成分表

⇒食物繊維の詳細はこちらの記事に書いてあります。

不溶性食物繊維は便の量を増やし、腸のぜん動運動を活発にして排便を促すので、便秘の改善には効果があります。

しかし、不溶性食物繊維を食べ過ぎると腸を更に刺激するため、ぜん動運動がより活発化し、腸内の便の量が増えることで腹痛を起こしてしまうことがあります。

腸は食べ物の水分を吸収して固形化する働きをしますが、不溶性食物繊維を食べ過ぎると、水分をうまく吸収できなくなるため、水分を多く含んだ便が排出されるので下痢になります。

ですから、栗の食べ過ぎには注意してください!

食べ過ぎると便秘になる?

通常は、外側の硬い部分の鬼皮と、栗を包んでいる渋皮をむいて食べることが多いですが、渋皮を残したまま「栗の渋皮煮」として食べることもあります。
栗の渋皮には、ポリフェノールの一種である「タンニン」が豊富に含まれています。
タンニンには、抗酸化作用があり、老化の原因といわれている活性酸素を除去し、老化を防ぐ働きをします。
しかし、食べ過ぎによってタンニンを多く摂ると、腸粘膜に特殊な膜を作る作用が働くため、腸のぜん動運動を抑制し、便秘を引き起こしやすくなるので、渋皮がついている栗の食べ過ぎは注意してください。

食べ過ぎると鼻血が出る?

鼻血が出るということは、鼻の中にある血管がなんらかの原因で破れて出血するということです。
鼻の内側の皮膚は薄い粘膜で覆われているので、血管が非常に切れやすいのです。
ですから、鼻をぶつけたり、鼻の中に指を入れて粘膜に爪が当たるだけでも鼻血が出ることがあります。

では、栗を食べ過ぎると鼻血が出やすくなるのでしょうか?

栗は種実類の中でも栄養価が高い食べ物と言われています。

日本栗 可食部100gあたりのカロリー:

  • 生 164kcal
  • ゆで 167kcal
  • 栗の甘露煮 238kcal
  • 甘栗(中国栗) 222kcal

参考:文部科学省 第2章 5訂増補日本食品標準成分表

栗を食べ過ぎると高カロリーになることで血糖値が上がり、鼻の粘膜にある血管が拡張されるため、上記の理由などにより鼻の粘膜が傷つくと鼻血が出る可能性はありますが、直接的な医学的根拠はありません。

食べ過ぎると太る?

栗には炭水化物(糖質)脂質が含まれています。
人が生活するために必要な一日の総カロリーは、1500kcal~2000kcalで、炭水化物の必要摂取量は総カロリーの約60%と言われています。
ですから総カロリーの60%を計算すると、下限の1500kcalで900kcal、上限の2000kcalで1200kcalが炭水化物の必要摂取カロリーになります。
炭水化物は「1g=4kcal」と、カロリーを重さ(グラムg)に直す目安がありますので計算すると、225g~300gが炭水化物の1日の摂取量になります。
これらの量は、1日(睡眠時間含む)に脳が必要とするブドウ糖が炭水化物から生まれるため、最低限必要な量になります。

日本栗 可食部100gあたりの炭水化物(糖質)と脂質:

  • 生 炭水化物36.9g 脂質0.5g
  • ゆで 炭水化物36.7g 脂質0.6g
  • 栗の甘露煮 炭水化物56.8g 脂質0.4g
  • 甘栗(中国栗) 炭水化物48.5g 脂質0.9g

参考:文部科学省 第2章 5訂増補日本食品標準成分表
日本栗1個の重さが、大きさにもよりますが、約15g~20gですので、100gというと5~6個ぐらいになります。
また、甘栗(中国栗)の重さは約5g~6gですので、100gというと17個~20個くらいになります。
よって、栗を1日に600g~800g(甘栗460g~600g)を食べると炭水化物の1日の必要摂取量に達してしまいます。
栗の個数にすると30個~48個(甘栗78個~120個)分になりますが、この数は現実的ではありませんので、あくまでも目安として参考にしてください。
普段の生活で朝、昼、夕と食事を摂りますので、さらに栗を食べ過ぎると太る要因になるのは間違いありません。
そのため栗から摂取する炭水化物の量は、1日に必要な総カロリーの20%以内に抑えましょう。
総カロリーの20%は300kcal~400kcalになり、炭水化物の量に直すと75g~100gになります。
これは、栗を200g~250g(個数にすると10個~12,3個)食べることになり、これ以上の量は食べ過ぎになると考えましょう。
これらの量は、茶碗の白米1杯~1.5杯ぐらいの量に相当(白米約200gあたり炭水化物約74g含有)しますので目安にしてください。

食べ過ぎるとニキビができる?

毛穴の中に皮脂がたまるのがニキビができる原因です。
つまり、ニキビは皮脂による毛穴の詰まりなのです。
ニキビに良い食べ物はズバリ「栗」です!
栗には、タンパク質、食物繊維、ビタミン類がバランスよく含まれているので、普通に食べるにはニキビの改善に効果がある食べ物です。
しかし、栗を食べ過ぎると、炭水化物や脂質が大量に摂取され、皮膚腺が過剰に刺激されることで多量の皮脂分泌が起こり、皮脂の排出が追いつかなくなるためにだんだん毛穴に皮脂がつまっていきます。
その皮脂を栄養分にして雑菌が増殖し、ニキビの炎症や悪化を引き起こすので、食べ過ぎには注意してください。

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栗の食べ過ぎは腎臓病に影響はあるの?

カリウムを摂りすぎると負担になる?

栗にはカリウムが多く含まれています。
カリウムは筋肉や神経の働きを補助し、利尿作用やナトリウム排出を促進する作用があり、腎臓にとってはいい働きをするものです。
カリウムを多く摂っても、健康な方は、1日のカリウム摂取量の90%は尿として排出され、残りは便として排出されます。
しかし、腎臓の機能が弱い方や腎臓病の持病がある方は、カリウムの摂りすぎが問題になる場合があります。
腎臓に障害があると、腎臓によるカリウムの排出機能が低下し、カリウムの血中濃度が高くなります。
カリウムの濃度が上がると、不整脈や、最悪の場合には心臓が停止する危険があります。
カリウムの日本人の平均摂取量は2400mg程度ですが、腎臓病など腎臓に障害がある方の1日の摂取量は、病状によって1500mg~2000mg以下を目安に抑えるカリウム制限が必要ですので、栗を食べ過ぎないように注意してください。

日本栗 可食部100gあたりのカリウム:

  • 生 420mg 
  • ゆで 460mg 
  • 栗の甘露煮 75mg
  • 甘栗(中国栗)560mg 

参考:文部科学省 第2章 5訂増補日本食品標準成分表

タンパク質を摂りすぎると負担になる?

また、栗にはタンパク質が含まれています。
栗を食べることによって摂取したタンパク質は、体内で代謝・分解され、血液中を流れて腎臓で老廃物がろ過され、そして尿として排泄されます。
栗を食べ過ぎることによって、摂取したタンパク質が多くなると老廃物の量も増えてしまうので、腎臓でろ過する過程で大きな負担がかかります。
腎臓病の場合は腎臓の機能が低下しているため、タンパク
質を摂りすぎると、腎臓に過剰な負担をかけてしまいます。

日本栗 可食部100gあたりのタンパク質:

  • 生 2.8g 
  • ゆで 3.5g 
  • 栗の甘露煮 1.8g
  • 甘栗(中国栗)4.9g 

参考:文部科学省 第2章 5訂増補日本食品標準成分表

タンパク質の1日の摂取量は、腎臓病の進行度合いや腎臓病の種類によって変わりますが、大まかな目安は体重1kg当たり0.6g~0.8gが摂取量の目安になります。
例えば、体重60kgの人の1日に必要なタンパク質の量は、36g~48gが目安になり、これ以上タンパク質を摂ることは腎臓に負担がかかる場合もありますので、食べ過ぎには注意しましょう。

腎臓病の食事療法においては、病状などにより人それぞれ大きく異なります。
栗を食べる場合にも必ず医師と相談し、具体的な食事療法の内容を決めてください。

食べ過ぎってどれくらい?摂取量の目安は?

妊娠中の場合は?

栗には、葉酸(ようさん)が多く含まれています。
葉酸は水溶性のビタミンB群の一種で、血液をつくる作用があり、細胞分裂を促したりする重要な栄養分です。
妊娠中は葉酸の必要量が増えますので、栗などの葉酸を多く含む食品を積極的に摂りましょう。
また葉酸は、妊娠中には、胎児の「神経官閉鎖障害」になるリスクを低減してくれる可能性のある栄養分です。
神経官閉鎖障害とは、脳や脊椎を形成する神経管が、妊娠初期(妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月ぐらいの間)において正常に形成されないことによって起こる先天異常です。
厚生労働省は、妊娠初期の葉酸の摂取量を1日1000μg=1mg以内の基準を定めています。

日本栗 可食部100gあたりの葉酸:

  • 生 74μg
  • ゆで 76μg 
  • 栗の甘露煮 8μg
  • 甘栗(中国栗)100μg 

参考:文部科学省 第2章 5訂増補日本食品標準成分表

栗を食べ過ぎることで葉酸の摂取量1000μg以上分の量を摂ってしまうのは現実的ではありませんが、他の食品との組み合わせによっては、1000μg以上になることは十分に考えられますので注意が必要です。
葉酸を摂りすぎると、じんましんや発熱などの症状が出る「葉酸過敏症」を発症する可能性があります。
また、葉酸とともに血液を作る作用があるものにビタミン12があります。
葉酸やビタミン12が欠乏すると、貧血を起こす可能性がありますが、葉酸の過剰摂取によって、ビタミン12の欠乏診断が困難になるため、結果として貧血が重度になる可能性があります。
栗を食べる場合には、必ず医師と相談し、具体的な食事療法の内容を決めてください。

厚生労働省では、妊娠を計画している女性は、食品からの摂取に加えて、サプリメントから1日0.4mg(400μg)の葉酸の補給を勧めています。
食品から摂るだけでは不安という方は、葉酸が含まれるサプリメントを摂る方法もありますので、サプリメントを紹介します。

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子供への影響は?

子供にはどれくらいが適量か?というのは大人が食べる約半分の量を目安すると良いです。
ですから、一度に食べる量は50g~100gぐらいで抑えましょう。

乳幼児の場合、生で食べられないことはありませんが、生後数ヶ月の赤ちゃんには加熱して与えることをおススメします。
生の栗は消化に悪いのに加えて、中の実に虫が卵を産み付けている場合があるなど衛生的にも気になります。
一度に食べる量も子供の食べる量のさらに半分か三分の一ぐらいにしましょう。
栗1個~2個分、量にして20g~30gぐらいで抑えましょう。
栗の種類や大きさにも色々ありますので、鬼皮、渋皮をむいて可食部のグラム数を量るのが良いでしょう。

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栗を茹でたものをすり潰して、お粥やヨーグルトなどに入れると食べやすくなります。
赤ちゃんに初めて食べさせる場合、まずはスプーン1杯ぐらいの量からスタートしましょう。
何ともなければ日を追って様子を見つつ、少しずつ量を増やしていく方が無難です。
食べ過ぎると、消化不良で下痢になったり、逆に便秘になったりしますので注意してください。

食べ過ぎで栗アレルギーが出る?

「栗アレルギー」という症状があるのはご存じですか?
栗アレルギーとは、栗のような食物を摂取した際に食物に含まれるタンパク質を異物として認識し、自分の体を防衛するために過剰な反応を起こす症状を指します。
目がかゆくなる、鼻水や湿しんが出るというような反応や、アナフィラキシーというぜんそくのような命に関わる重篤な反応を起こすことがあるため、注意が必要です。
乳幼児から子供まで大きな症状が出ない場合は、気づかないまま大人になることもあります。
栗アレルギーは、花粉症とも密接な関係があり、花粉症の人が、栗のようなナッツ類、果物、野菜
を食べたり、食べ過ぎたりする場合に、口の周りが赤くなってかゆくなる軽度な症状のものから、下痢やおう吐、発熱、呼吸困難になるアナフィラキシーという重度な症状のものまで発症する可能性がある病気です。
ラテックス(天然ゴム)を含んだゴムでも同様な症状を起こすので、これらを「口腔アレルギー症候群・ラテックスフルーツ症候群」と言われています。
花粉症をひきおこす原因となるタンパク質の構造が、栗のようなナッツ類、フルーツや野菜などの食物や天然ゴムに含まれるタンパク質の構造と共通しているために、食物を摂取すると口腔内でアレルギー反応が生じた結果、上記のような症状を引き起こします。
これらの症状は、食後1.5時間~2時間で表れるので、表れたら直ちに栗を食べるのを止めてください。
特に乳幼児や子供は、遺伝的要素もあるので、家族間でアレルギーを持った人がいる場合は、栗を食べる前に医者に相談したり、アレルギー検査をすることをおすすめします。

おまけ:栗の渋皮煮の作り方動画

栗の渋皮煮の作り方を動画で紹介します。

まとめ

栗の1日の摂取量の目安は、

  • 大人:200g~250g 栗10個分
  • 子供:50g~100g 栗5個分
  • 乳幼児:20g~30g 栗1個~2個分

ぐらいになります。
これ以上は食べ過ぎになり、様々な症状を引き起こす可能性がありますので、食べ過ぎには十分注意しましょう!

 
                        
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